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第4回目イエナプラン教育Skype学習会 [オランダ教育]

第4回目のイエナプラン教育Skype学習会でした。
今回から内容はこの本の読書会です。
【学校と授業の変革ー小イエナ・プランー】

学校と授業の変革 (世界新教育運動選書 (4))

学校と授業の変革 (世界新教育運動選書 (4))

  • 作者: ペーターゼン
  • 出版社/メーカー: 明治図書
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 単行本



この本は一般に入手するのは少々困難ですが、大学図書館などで借りられました。

一緒に勉強会をしている方も特別支援教育に携わって研究されている方でもあるので、お互いに本を持っていて且つ、難しいところなどは一緒に読み合せていけたらということで始まりました。

イエナプラン教育というと、今ではオランダと密接に結びつきのあるものですが、その祖型はこのドイツでペーター・ペーターセンによって20世紀初頭に生み出されました。

その当時にペーターセンによって書かれた本【Der kleine Jena-Plan: einer freien allgemeinen Volksschule】を日本の教育学研究者たちによって翻訳されたものです。

Der kleine Jena-Plan: einer freien allgemeinen Volksschule

Der kleine Jena-Plan: einer freien allgemeinen Volksschule

  • 作者: Peter Petersen
  • 出版社/メーカー: Beltz Gmbh, Julius
  • 発売日: 2014/06
  • メディア: ペーパーバック



翻訳本には著者たち自身の記述の部分もありましたが、今回は翻訳部分に焦点をあてて進めていくことになりました。

勉強会自体が社会人の集まりで、朝の50分ということもあり、ゼミ形式のように事前にレポートを作成しておくことなども困難で、内容言及ももしかしたら浅いかもしれませんが、私たちの記録として今後も残していきたいと思います。


▼読書会の進め方
少しずつ(10ページ単位くらい)読みながら、お互いに読んで気になるところを掘り下げていく形

▼ペーターセンのイエナプラン教育と現オランダでのイエナプラン教育
・読んでいてギャップがあった。現在のオランダでのあり方や形に比べて、だいぶ敷居が高いイメージがある。
・精神的なエリート市民の意識?
・時代背景が全然違うこともあるかもしれない。
・ペーターセンの従来の学校教育を変えようという意思は1912年に生まれ、イエナプラン教育への意思は1922年に生まれた。この時代、ドイツは第1次世界大戦の経験と、大空位時代とも言われるワイマール共和国時代を経験している非常に混迷した時期。
・こういった時期も相まって、「国家」意識や、「権威」意識、また「共同体」への意識が強いこともあるのではないだろうか。そして「Führer(leader/導き手)」としての意義もそこに出てくるのではないだろうか。
・オランダでは20の原則など、様々な合議を重ねて根強く今があるが、ドイツではペーターセンが死去し、一度廃れていったように、そういった運動への発展に結びついていくのは困難だったのかもしれない。それには戦争やドイツの現状などの時代背景もあるだろうし、また「格の高さ」的なものもあったのではないだろうか。

▼学校のあり方
・私が保護者だったとしたら、ちょっと入りづらい。
(父母の態度という項目がある)
・道徳教育のイメージが強い。
・特別支援教育の視点から見ると、今オランダで言われているような視点(SEN/Inclusive education)があまり文面からは感じられなかった。
・この時代に特別支援教育の考え方はどのようのだったのだろうか。日本の方が隠したり、受け入れたりと地域にもよるが、おおらかだったようにも思うし、ドイツなどは詳しくはないが、排斥していた傾向にあったのではないか?特別支援教育に関してはもう少しその辺りの歴史を知ることが必要。

▼その他
・訳者の理念とペーターセンの理念が相まって、文面文脈は学術的ではあるが、とても想いの現れた時翻訳のような気がする。
・ワイマール期のドイツの時代背景とオランダでの発展における時代背景も重要だろう。
・ワイマール期のドイツと大正期の日本を考察するのが未来につながるのではないだろうか。
・非常に混迷した時代でもあり、新たなものが花開いた時代でもあり、市民が啓かれ始めてこともある。こういった時代に生まれるアイデアや哲学といったものをベースに考えていくことは有益ではないだろうか。
・エルンスト・ブロッホの書いた「希望の原理」という本にイエナプラン教育への親和性を感じる。

希望の原理 第一巻 (白水iクラシックス)

希望の原理 第一巻 (白水iクラシックス)

  • 作者: エルンスト ブロッホ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2012/11/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



▼チェックアウト
・時代背景を知ることができてよかった。
・特別支援教育の視点から見るペーターセンのイエナプラン教育という観点が新しかった。
・勉強会の意義がより出てきたように感じる。
・改めてワイマール期のドイツを考察してみたい(筆者は大学時代の卒業論文で、ワイマール期ドイツのジャーナリズムについて言及していた)

以上。
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